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2008年09月30日

経営者育成セミナー参加日記(11)〜隙〜


火事のイベントカードを引いてしまったら、即座に破滅。
しかし、もはや、逆転の可能性は、材料輸出カードを引いて、
抱えている大量の材料を現金化すること、それ以外に無い。

それ以外に選択肢がないのだから、どんなリスクがあろうと、
ここは目をつぶって、カードを引くしかない!

そうさ!このまま、座して……まるで死んでいるかのように、
無為なときを過ごすぐらいなら、逆転の可能性を信じて、
破滅という業火の中へ飛び込んだ方が、どれだけマシか……!

だから、失敗を……リスクを……恐れるな!

「どうしました?飲茶さん、次の行動を宣言してください」

次の行動を催促する講師。もう心は決まっていた。

カ…………!

だが……。

カードを引きます……、講師にそう言いながら、
カードに向かって手を伸ばしたとき、
僕は、見てしまった……。講師の輝くような笑みを……。

にこにこにこにこ……

もともと、講師は、ゲーム中は、基本的に愛想よく、ずっと微笑んでいる。
だから、講師が笑顔でいること自体は、それほど不思議なことではない。
だが、なぜだろう……僕がカードを引きますと言おうとしたそのとき、
まるで灯りがついたかのように、その笑顔がぱっと輝いたように見えたのだ。
そして、その笑顔が、僕には、悪魔的でおぞましいものに見えた。

ニコニコニコニコ……

う、ううぅぅぅっぅうぅぅぅ………
な、なんなんだ、この感覚は……?


僕は、即座に、自分の中に芽生えた違和感の原因を探った。
そして、ある結論にたどり着く。

……そうか……この講師は……こいつは、すべてわかっているんだ
今、僕が、何を考え、何を恐れ、何に怯えているかを……

生き残りをかけて、材料輸出カードを引くしかないことも……
火事カードを引いて破滅することを恐れていることも……


それは、そうだ。彼は講師だ。このゲームのルールは、
当然のごとく、熟知しているに決まっている。

ニヤニヤニヤニヤ……

く、くそ……こいつ!愉しんでやがる!

もしかしたら、それは、ただの被害妄想だったのかもしれない。
だが、僕には、講師の笑顔の裏に「他人の破滅を楽しむ歪んだ愉悦
があることをはっきりと感じとっていた。

後になって、冷静に考えるなら、その気持ちは、わからなくもない。
だって、限界まで借金して、買占めのつもりで買い込んだ材料が、
一瞬にして、火事で消滅するなんて大破滅、
はっきりいってネタ以外の何物でもない。
おそらく、経営戦略ゲーム始まって以来のことだろう。

実際、もしそうなったら、きっと、参加者たちは、あまりの破滅っぷりに、
大爆笑するだろう。場は笑いに包まれ、盛り上がるに違いない。
そして、講師は、この破滅エピソードを後々まで笑い話として
語り継いでいくだろう。

他人の不幸は蜜の味。
しかも、それが、
決定的な大破滅であれば、なおさらのこと。


くそくそくそ!

材料を2個、商品に加工します!

僕は、吐き捨てるように言った。

講師は、「……わかりました」と
意外そうに、そして、残念そうに言った。

ほらみろ、やっぱり、そうだ。
こいつは、俺が、破滅することを……
愉快な大破滅が起きるのを……
心待ちにしていやがるんだ!


くそくそくそ!腹立たしい!

万が一、火事カードを引いて、講師の望む展開になったらと思うと、
悔しくてたまらない……!

…………!

待てよ!もしかして、それ……
逆手にとれないか!?


突如、飲茶の脳裏に、ひらめきが走る!

えーと、えーと……

今、場にあるカードの山の中に、
火事カードが何枚、入っているか、自分は知らない。
1枚なのか、2枚なのか、それとも、3枚なのか。
まったくわからない。不明だ。

だが、もし、火事カードが2枚しかないとして、
そのことを、もし自分が知っているとしたらどうだ?

決まってる。火事カードは2枚しかないのだから、
他の人が、2枚目の火事カードを引くまで、黙って待てばいい。

2枚目の火事カードがでたら、
もう、火事カードがでる可能性は0%なのだから……
完全にセーフティ!
破滅の心配もなく、カードを引くことができる!

つまり、カードの山の中に、火事カードが何枚あるかを知っていれば、
こういう方法で、リスクをゼロにすることが可能だ。

だが、僕たち、ゲーム参加者には、その情報は知らされていないので、
実際には、その方法はできない……。

だが!

おそらく、その情報を知っている人間が、ここにひとりいる……!

講師だ!

やつは、きっと知っている。
もちろん絶対ではないが、知っている可能性は高い。

もしだ。
仮に、火事カードが2枚しかないとして、他の人が、2枚目を引いたとき……
講師だけは、火事カードがもう二度と出ないことを知っているはずだから、
きっと、がっかりするはず。
もしくは、僕が、カードを引こうとするとき、
さっきのような笑顔にはならないはず……。
だって、ヤツが、望む面白いことは、もはや起きないのだから。

うう……、い、いける……!

参加者ではない講師の表情から、
カードの情報を読み取ろうなんて、まさに「理外の理」。
講師だって、思いもよらないはずだ。

それに実際、今まで、何度も、講師の表情や態度から、
ゲームのヒントを得てきた……!
そう……明らかに、ヤツには隙がある……!
それは「自分はゲームの参加者じゃない」というココロの隙……!
それを今度は、積極的に利用してやるのだ……!

それに、だいたい、
他人の破滅を願って笑みがこぼれるようなヤツの
思い通りになってたまるかよ……!
逆に、その笑みを利用して、のし上がってやる……!

それにしても……

と飲茶は思う。

ついさっきまでの自分は、
運否天賦、一か八かでカードを引くしかないと思っていた。
だから、目をつぶってカードを引くしかないと考えていた。
それ以外に、ありえないと思っていた。

でも、実際には、こんなふうに、
生き残るための確率を高める「戦略」があったのだ。

あきらめなければ、どんな状況であろうと、
勝つ道は必ずあるということなのか!


あきらめなければ……あきらめなければ……!


この記事へのコメント
早く飲茶さんが燃え尽きて笑いものになる所が見たいんですがまだですか?

まだですか?

(飲茶)まだだ……まだおわらんよ!
Posted by at 2008年09月30日 17:31

あ、ネタがないんだ。
(・∀・)ニヤニヤ

(飲茶)
「お前の次の台詞は・・・消してやるぜ、そのニヤついた顔を、だ。」
「消してやるぜ、キムコウさんのニヤついた顔を!……はっ!」
Posted by キムコウ at 2008年09月30日 17:53

次にカード引いた人が輸出カードを引くんですね
わかります。

(飲茶)なぜ・・・それを・・・ま、まさかこいつ、心が読むスタンド使いか?
Posted by ジャンク at 2008年09月30日 18:36

 あきらめないことが、新しいひらめきを産むんですよね。

(飲茶)ええ、たまには、追い詰められることも悪くはないですよね。
Posted by 呟き尾形 at 2008年09月30日 19:03

完全に安全な商売などないです。
火事カードが先になくなるか、輸出カードが先に無くなるか…
どうなんことやら。

(飲茶)さすが、そこに気づきましたか。
Posted by ジャンク at 2008年09月30日 21:56

で、イチヤを思い出すんですよね?

私的にはオメガの方が(笑)
あれは私も死に掛けたからなぁ。
Posted by Hightech Securities at 2008年09月30日 22:50

イチヤを髣髴させますね

って個人的にはイチヤよりオメガですよw
あれは私もやばかったし。

(飲茶)オメガは酷かったですねw
全力買いなのに、毎日、ずるずる、下がっていき、ついには…うわああ
Posted by Hightech Securities at 2008年10月01日 01:33

他の人が火事カードを全て引くまで待つとすると、その間殆ど死に体の経営が継続するわけですよね。その間に他の人との差は開くばかりだし、そもそもこの手のゲームは終了前にカードが無くなったら困るから少し余分になっていそうにも思います。そうなると最後まで待ちで終わってしまいそうな気が...

それともこれから別のどんでん返しが出るのでしょうか。

(飲茶)ええ、たしかに、このままだと死に体ですよね。
でも、しかし、今はそれしか方法が……
Posted by 待ちの人生 at 2008年10月01日 09:28

早く続きが読みたいです

(飲茶)す、すみません、がんばります・・・
Posted by ひであき at 2008年10月01日 09:43

講師の方の錬度が気になる所ですね。
そもそも残り枚数を把握していて、その上で何が起ころうと、そ知らぬ振りでニヤニヤし続けているだけかも知れません。何故なら、飲茶さんには既に選択肢など無いも同然なのですから・・・
錬度の高いプレイヤーやマスターであるなら、こういった状況で参加者が取る行動・取れる行動もかなり正確に予想出来る事でしょうし。
もしそうなら、講師の方は真の意味で他人の破滅を楽しんでいる悪魔と言えるでしょう。
そういった可能性も、無くは無い一つの可能性として考慮に入れておいた方が良いと思います。

そうそう、火事が出ないままカードの残数が減れば火事の出現率は上がる一方です。時間が経てば経つ程、他プレイヤーとの差は開く一方なのですし、火中の栗・・・拾いに突っ込むのもアリかも知れませんよ?

(飲茶)人って、こういう追い詰められたときに、真の性格が出てくるもので、「いけー!」と突っ走るタイプ、「いや、まて」と保留するタイプ……。自分は、どっちだろう……え、前者?
Posted by 銀色 at 2008年10月02日 14:34

はやく続きが読みたいのですがなかなか更新されないようで残念です
このゲームはモノポリーのように自由な取引はあったのでしょうか?
自分だったら買占めをして商品自体を競売にかけたり、カードをオプション取引まがいのことをして相手にカードを引かせて金や物品を使って回収したりするのですが…
飲茶さんはこの危機をどのようにして切り抜けたのか気になります

(飲茶)自由な取引はたぶんできないかと。といっても、実はできたのかもしれませんが。。。続きは、なんとか、はい、がんばります><
Posted by kujira at 2008年10月24日 14:57

超面白くて食い入るように読ませて頂きました。
「極論(ある意味で正義)」+「展開の早さ」
まるでデスノートの演出のようです。
飲茶さんは文才ありすぎですよ。
(飲茶さんの会社の社員の方々は、毎日楽しいそうw)
つづきを楽しみにしています。

(飲茶)あぅあぅ、続き……がんがってかきます……orz
Posted by K2nd at 2009年01月11日 11:16

こんにちわ。初コメです。
飲茶さんの話には物凄い引力を感じますw
かなり面白そうなゲームですね〜
ちなみにこれ実話なんですか?

(飲茶)はい、実話ですよー^^
もしかしたら、似たようなゲームあるかもです。
Posted by gachi at 2009年03月23日 02:09

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