2008年07月28日

経営者育成セミナー参加日記(9)〜決算〜


一年が経過し、はじめての決算をむかえた。

それでは、みなさん、1年間の経営活動を
 決算報告書としてまとめてみましょう


ここで、ゲームはいったん中断となり、
参加者たちは、自分の会社の「決算報告書」を
作成することになった。

ところで、

いくつ材料を買って、いくつ商品に加工したか……
商品をどんな値段でいくつ売ったか……

などの情報は、ゲーム中に、専用シートに自分でメモっておくのだが、
このメモにもとづいて、収支を計算し、決算報告書を作成するのである。

もちろん、ほとんどの参加者が、 決算報告書の作成は初めてで、
「作り方がわからない」という人の方が多かったが、
とにかく取扱説明書の手順にしたがって、 決算報告書を作っていくのだった。

みなさん、書き終わりましたか?
 では、講義をはじめたいと思います


全員の決算報告書が完成したところで、突然、講師が
決算報告書の見方」という題名の講義をはじめた。

今にして思えば、なるほど、
よく考えられた良いセミナーだったと思う。

もし、学校の授業のような形式で、朝から机の上にずっと座って、
普通に決算報告書の講義を聞くだけだったら、
おそらく、興味や集中力を持続させることができず、
その大半をほとんど眠りながら聞いていただろう。

だが、こうして、実際に、会社を経営させて、
自分自身で決算報告書を作らせた後であれば、
決算報告書の講義を、興味を持って聞くことができる。

それに、今やっている経営ゲームで勝つためには、
決算報告書の内容をきちんと理解して、
「会社の経営状態」を正確に把握する必要があるのだから、
みんな、真剣に聞かざるを得ない。

セミナーを主催する側の思う壺で悔しいが、
実際に、みんな集中して講義に聞き入っていたし、
眠そうにしている人は、ひとりもいなかった。

やっぱり、自分で電卓を叩きながら、
計算して作ったからだろうか、本を買って読んでも、
まったくピンとこなかった決算報告書の内容が、
実感をともなって、理解することができたような気がする。

(ちなみに、僕の場合、決算報告書は、作成も分析も、
 ぜんぶ税理士さんにおまかせしていて、
 自分で作ったことは一度もないので、本当に良い勉強になった)

とまあ、かなり有意義で素晴らしいセミナーだったのだが、
そう思えたのは、家に帰って冷静になってからの話であって、
そのときの僕は、絶望感でパニック状態に陥っていた。

まず、僕は、1年が経ったことで、
ゲーム開始時に、最大限に借りた借金の利息を
支払わなくてはならなかった。
もちろん、手持ちの現金のほとんどは、材料を買い占めるのに、
使ってしまったので、当然、借金の利息を支払うことなんてできない。

世間では、そういう状態のことをなんと呼ぶだろうか?

人は、それを破産と呼ぶ。

もしくは、破滅……敗者……
負け犬……樹海行き……。


飲茶、経営ゲーム開始1年目にして、ものの見事に破産。

他の参加者たちは、とりあえず手探りで1年間、経営をやってみて、
やっとゲームのルールや仕組みを理解してきた、というところだろう。
そして、さぁ、これから、本格的に、経営ゲームを開始しようと
意気込んでいるところだろう。
そんなときに、飲茶はすでに破産である。

だが、幸か不幸か、このゲームには、破産がなかった。

つまり、借金の利息が払えなくても、払えない不足分は、
新たな借金として上積みされるだけで、経営を続けることができるのだ。

それどころか、さらに借金をすることもできた。

現金ゼロの一文無しで、返すあてのない大きな借金を抱えて、
利息すら払えないのに、新たに借金をすることができるのだ。

これで、一応、借金まみれながらも、
現金(運転資金)を手にすることができる!
次の年に望みをつなげることができる!

なんとかしなきゃ……なんとかしなきゃ……。
この手持ちの資金で、今度こそ、利益を出して、
少しづつでも借金を減らしていかないと……!


だが、ルール上、破産状態のときに借りられる金額は、
ほんの少しのスズメの涙でしかなく、
どう考えても十分な資金とはいえなかった。

もし……来年……この資金を元手に、利益を出すことができなかったら……
いや、仮に、利益を出せても、借金の利息分より少なかったら……
ううぅ、さらに、借金の額が増えることになる……
そして、次の年の運営資金を得るために、またさらに借金をすることに……
すると、支払うべき利息の金額が、前の年よりも増えることになって……
年を重ねるごとに、ますます、ハードルは高くなっていき……


ぐううううううっっ!
どう考えても、借金の額が雪だるま式に
膨れ上がる未来しか想像することができない!


僕は、口を半開きにして、うつろな目で、

おわた、おわたよ、完全におわたよ……

と、ブツブツつぶやいていた。
もし、参加者の中に、霊視ができる人がいたら、
半開きになった口から、魂が半分、ぬけ出ているのが見えたことだろう。

ここから逆転なんて絶対無理だよ……
いっそ、破産させてくれよ……
ああ、もう帰りたい……


そう思っていたとき、

…………ああ!!

そのとき、飲茶の脳裏に、ひらめきが走った。

突然の神からの啓示。
4文字の漢字が、飲茶の脳に、浮かび上がる!


粉 飾 決 算

そうだ。そうだよ。
決算は、自己申告で、自分で作るものだから、
数字を都合の良いように、書き換えちゃえばいいんだよ!
たとえば、借金のゼロをひとつ減らしたりとか。
売れてないけど、商品を売ったことにして、
架空の売り上げを……


あぐぐぐぐううううっっ!!

我に返って、自分の考えにぞっとした。

自分は、なんということを考えていたんだ!
それは、だめ!経営者として、いや、人として、
それだけは絶対にしちゃいけない!
くそ!くそ!くそ!どうかしてる!!


頭を抱え、涙を流しながら、自己嫌悪。
そうしている間にも、講義は終了し、
経営ゲームは再開されるのだった。

経営戦略ゲーム、2年目開始!


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