2008年06月13日

経営者育成セミナー参加日記(5)〜奇手〜


奇手!!
悪魔的奇手!!


このゲームで大勝するためには、どうすればいいか?

休憩時間中、僕は、ずっとそればかりを考えていた。

そもそも、このゲームの目的は、
材料を買い、商品を作り、市場で売り、お金を儲けること
である。

単純に考えれば、
材料費や加工費よりも、商品を高く売れば、確実に儲かる
ような気もする。

だが、これは経営戦略を学ぶゲームだ。
そう一筋縄ではいかないだろう。

おそらく、一筋縄ではいかない部分というのは……
商品を売るときに、参加者と価格競争をしなければいけない
というところだ。

みんながみんな商品を売りたいのだから、
人より安い値段をつけざるを得ない。
結局、価格競争になっていき、
実際には、売れても少ししか儲からないような
そういう低価格で商品が売られていくだろう……。

そんな価格競争にまともに参加したら、大儲けするのは難しい。

とすれば……。

まず……すぐに思いついたのは、談合だ。

つまり、価格競争のときに、みんなで口裏を合わせて
高い値段をつけて売り出せばいい。

たとえば、みんなで示し合わせて、11万円という高い値段を提示し、
ひとりだけ、10万という少し安い値段を提示すればいいのだ。

こうすれば、原価1000円の商品を、10万円で売ることだって可能だ。

こういう談合を、
「今回は、Aさんが儲ける番。
 次は、Bさんが儲ける番。次は、Cさんが……」
と、順番に繰り返していけばいい……。
これで、全員が大儲けすることができる。

が、この方法は現実的には不可能だろう。

だって、裏切られるかもしれないからだ。

たとえば、談合をやって、他人が儲かった後で、
いざ自分の番がきたときに、いきなり、相手が約束を反故して、
約束どおりの値段を出してこないかもしれない……。

そういうリスクを考えたら、談合はなかなかできない。

まして、参加者が2人、3人なら、ともかく、
こんなにたくさんの参加者がいたら、
とても談合の交渉なんかできない……。

談合で儲けるのは、まず無理だろう……。

そうすると、あとは……独占販売……か。

僕の脳裏に、講師のある言葉が強く印象に残っていた。

「さあ、このままでは、私の商品しかないので、
 私の独占販売となってしまいます。
 それを阻止するために、みなさんで競合商品を出してください」


その言葉に出てきた重要なキーワード。
独占販売……。

そう、自分が商品を出したときに、競合商品がなければ、
独占販売となり好きな値段がつけられる。
それこそ、10万円でも、20万円でも。そうなれば当然、大儲けだ。

もちろん、参加者の数から行って、
自分だけが商品の在庫を持っていて、
 他の人が商品を1個も持っていない

なんて状況が、そうそう都合よく起きることはないだろう。

でも、うまく……その状況を作り出すことさえできれば……。

自分だけが商品を持っていて、他人が商品を持っていない状況……。

僕は、思考のピントをそこに合わせ、考え続けた。

「ああ!」

……そして、あるアイデアにたどり着く……。

きっかけは違和感だった。

講師のゲームの説明のなかに、ひとつだけ、現実と合わないところがあった。

「あの、売れた商品のコマはどうするんですか?」

「はい、売れた商品のコマは、
 テーブル中央の材料置き場に戻してください」


このシーン。
これは、現実でいえば、
商品が売れた瞬間に、リサイクルされて、資源に戻される
ということになるが、ちょっと現実的ではないので、
かるい違和感を感じて印象に残っていた。

そのシーンを思い出して、ピーンときた。

ええと、待てよ。

じゃあ、ずっと商品が売れなかったらどうなるんだ???

コマは、材料に戻らないから……。

材料がなくなっていき……材料がなくなれば、
好きに商品を作ることができない!

いやいや、まてよ。
それよりも、いっそ、僕が、ぜんぶ材料を買い占めたとしたらどうだ……。

僕が商品を売らないかぎり、材料のコマは増えないのだから……
誰も、商品を作ることができない……。


「ああああ!!!」

思いついてしまえば、あまりにもシンプルな戦略。

材料買占め戦略。

材料を買い占めてしまえば、誰も商品を作ることができなくなる。
そうすれば、自分だけが商品を持っていて、他の誰も商品を持っていない、
という状況を作り出すことができる。

う……うぅ……すごいことを思いついてしまった……。

ちょ、ちょっと、待ってよ。
そのまえに、買占めってどれくらいお金がかかるんだ?

僕は、テーブルの中央に並べられた材料のコマを
目測で数え始めた……。

……うぅ……、か、買える。
……手持ちのお金で、全部買える……買えてしまう!


限度額いっぱいの借金をしていたことが功を奏した。

その気になれば、材料置き場にある材料のコマを
すべて買い占めることが可能……!

もっとも、材料置き場の材料を買い占めたところで、
みんなまだ商品(あとで材料になるコマ)を持っているのだから、
「この場に存在するすべての材料」を僕が買い占めたことにはならない。

でも……。

たとえ、そうでも、今、材料のほとんどを買い占めてしまえば、
場に流通する材料(商品)の数は、間違いなく激減する。

そうすれば、自分が商品を売るときに、誰も商品を持っていないという
状況が自然に起こるかもしれないし、また、自分の番のときに、
材料置き場に材料が残っていたら、少しずつでも買って回収していけばいい。

少なくとも、大半の材料を持っている僕が、
材料の流通を制御することができるわけで、
有利にゲームを進められるはずだ。

だが……。

本当に、そんなことをしてもいいのだろうか?

まず、ゲーム序盤から、資金の大半を使い果たすことになる。
一度、材料買占めを実行してしまったら、もう後戻りはできない。

本来、使われるであろう、設備投資、工場拡張などの資金を
すべて犠牲にして、材料買占めを行うのだ。
来年になれば、また借金して、資金を得ることができるとはいえ、
設備投資という面において、大きく出遅れることになる。

こんなゲーム序盤から、こんな大勝負をしかけてもいいのだろうか……?

「えー、次は、飲茶さんの番です」

来た!自分の番だ!

どうする!どうする!

ここは、様子見か……?
こんな序盤から、そんな思い切った手を打たなくても……。

いや、だめだ!
この戦略は、後になればなるほど、不利になる。
ターンが進み、材料が買われていけば、材料の買占めが難しくなる。

やるなら……、今……!このゲーム開始直後……!
こんな戦略を誰も想像していない、今しかない!

ぐずぐずしてたら機を逸する!!

やらなくてどうする?
勝つために……勝つために生きなくてどうする!?

行くんだ!ここは勝負だ!!


「飲茶さん?自分の行動を宣言してください」

「……材料を……買います」

「はい、いくつですか?」

「ぜんぶ」

「え?」

「あの材料置き場にある材料……全部ください!

ざわ……ざわ……

奇手!

材料買占めによる
独占販売戦略
開始!



この記事へのコメント
事実上、経営方針は「原材料価格だけで儲ける」って事になりますよね? それって農・鉱業に近い発想になるのでは? つまり小売ではなく、卸売りということになるはず。
本当にそれで利益が最大になるなら農林水産業がもっと振興しててもよいような気が・・・・

(飲茶)あ、ちなみに、ゲームだと、加工費がかかります。ただ、工場や倉庫の維持費や人件費はかからないというルールでした。
Posted by べこ飼うだ at 2008年06月14日 01:35

いやーワクワクする展開ですねーwww
まさに悪魔的奇手www
しかし、この戦略、トヨタのかんばん方式を全否定する戦略だけにそう上手くいくかどうか・・・・・www

(飲茶)果たしてどうなるのか……
ところで、このコメントの次のコメントですが、どうやったのか、コメント一覧から編集できません。うーん、このブログのバグかな???
Posted by at 2008年06月14日 03:16

政治家やヤクザがいなければ上手くいくでしょ。
ていうかこいつらがやる手法だし。
Posted by   at 2008年06月14日 09:50

これって、原油価格高騰の構図に相当したりするのかな?

(飲茶)そういえば、原油価格の高騰の理由って全然知らないです。原油そのものが少なくなってきたから、希少価値が高くなって高騰している……ってわけじゃないでづよね?
たぶん、何かもっと複雑な理由があるんでしょうね。
うーん、なんだろう、バイオ燃料に切り替える前に、高値で売り逃げとか???
Posted by 通りすがり at 2008年06月14日 12:04

面白いですねぇー。
カイジ好きにはたまらない展開ですね。

まぁ、どっかで見たような内容ですk(検閲削除)。
早く残りもコピペして欲しいd(検閲削除)。
さっさと続きを更新s(同上)。

…。
と、とにかく今後の展開が楽しみですねっ!
(必死のフォロー)

(飲茶)いやでも、実際、ひさしぶりに読むと、自分もカイジが好きなので、わくわくしてきます。僕もはやく続きよみたい誰か続きかい(自主規制)
Posted by Hybrid at 2008年06月16日 10:41

買い占めた後、「材料が無くなりましたの追加の材料を出します」って展開になったらマジで笑うんですがw
まぁ、現実に近づけてるゲームなら原材料が無限ってのは無いでしょうが

もし、あったら飲茶さんが本気で
( ゚д゚)ポカーン
ってなったのにww

(飲茶)うぐぐぐぐ、す、するどいですね!!
Posted by at 2008年06月23日 00:04

>現実に近づけてるゲームなら原材料が無限ってのは無いでしょうが

材料無限はありえないですが、
現実に即した問題ならば。
新たな材料が出るのが自然な流れかな。

材料が買い占められて、品薄の状態ならば。
市場原理により、材料供給が増えるでしょうから。

講師が、新たな材料コマを増やすのは、
ゲームとしてはいきなり新たなルールが提示される形でズルいようでもありますが、
「買占めの発想は良いけれど、
供給の仕組みを理解しないで暴走するのはいけませんね。まず先に、
それを調べるべきでした。市場調査をぜず、
自分に都合の良い思い込みをしてはいけません。
先に私に、材料供給のシステムを質問するべきでした。聞いてくれれば答えましたよ」
みたいな流れになると予想します。
Posted by 村上とゆーものです at 2008年07月07日 03:27

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