飲茶の新刊「14歳からの哲学入門」発売中!

2013年03月18日

はじめてのゲーム実況(3)HAL研究所から連絡が…

最近はじめたゲーム(エッガーランド)実況。

唯一の懸念点は、「著作権法違反」だったわけですが……
なんと、このたびHAL研究所から実況OKの承認を
いただきました!

まぁ、なんというか、ゲーム実況なんて星の数ほどあるので、
それにいちいち承認を出していたらキリが無いだろうし、
大変ご迷惑だろうとは思ったのですが、
自分は作家で、これこれこういう知的な本を出して、
 まったく無名人というわけではなく、炎上の可能性が

などと、
とても嫌らしい感じ」で問い合わせをしたところ、

動画みました。問題ありません。頑張ってください

という快い返答をいただきました!

ありがとう、HAL研究所!
ガルフォースもリアルタイムでやってました!

というわけで、メーカの了解も得たことなので、
がんばって実況を続けていきたいと思っていますが、


パズルが難しくて心が折れそうです……。


飲茶の実況プレイ一覧(迷宮の復活)

(初回)【哲学的な何か、あとパズルとか】エッガーランド 迷宮の復活 Part1


(第二回)【哲学的な何か、あとパズルとか】エッガーランド 迷宮の復活 Part2


飲茶の実況プレイ一覧(ロロ2)

(初回)【飲茶実況】シリーズ最難アドベンチャーズオブロロ2を初見クリア Part1
※初めての投稿で音飛びが酷いです。Part2から改善しています。

2013年03月22日

経営者育成セミナー参加日記(19)〜信頼〜


(以前の話はこちら

その後。
僕も価格破壊男も、良いところはひとつもなかった。

なけなしの現金を投資し「おまけカード」を買い集めても、
理不尽な低価格」によって潰され「笑いもの」にされる。
そういう状況がゲームの終わりまで続いたのだ。

つまるところ、僕は経営者として最も大事なことを
わかっていなかったのである。
そもそも、僕は、

・「相手の心理」を的確に読み取り、裏をかき、
 「人間同士の心理戦(価格競争)」に勝利して儲ける。

・「ルールの隙(法の抜け道)」をついて儲ける。

・「自制心」を保ち、適切な投資を行い、儲ける。

というのが、この経営戦略ゲームの「本質」であり、
同時にそれが「経営」の「本質」であると思っていた。

だが、この経営戦略ゲームには、それ以外の「本質」、
真の本質」が隠されていた。
それは、「経営で勝つため」に本当に必要なのは、
業界内での「信頼」であり、「人間関係」であり、
人脈」であり、「コネ」だということ。
それこそが経営の「真の本質」であり、それに気づかせることが
実はこのセミナーの「裏テーマ」だったのである。

経営とは、他者と自分の生き残りを賭けた戦い。いわば戦争

これはセミナー開始当初の僕の考えであるが、
今にして思えば、なんと幼稚な考えだったのだろう。
仮にそれが真理だったとしても、
それをあからさまに態度に出して経営していたら……、
他者から嫌われ、総すかん。ことあるごとに足をひっぱられ、
何かうまい話があっても仲間にも入れてもらえない。

当然の理屈。そんな当たり前のことにさえ
僕は気づいてもいなかった。

本物の経営者であれば、
「自分の利益を優先させること」を本音として隠しつつ、
「業界全体のため」とか、「市場の発展のため」とか、
「ユーザのため」とか、そういう態度を示し、
地道にみんなの信頼、すなわち「社会的評価」を得ることを
目指すべきだったのだ。
そうして、すこしずつ、
協力しあえる、味方、仲間を
業界内につくっていくのが正しい姿だったのだ。

それなのに……!

それを僕は画一的に「自分以外は敵」などと思い込み、
信頼関係や人脈を築くこともなく、「ルールの隙」ばかりついて、
自分だけ儲けよう!
自分が!自分が!

とやってきた。

なんという痩せた考え。

ふと見上げると、価格破壊男がしょんぼりとしていた……。
さすがに彼も、自分の置かれている状況、
――軽んじられ、弄ばれている状況――に気がついたのだろう……。
だが、気がついたところで、もはや手遅れ。
今さらもうどうしようもない。

結局、僕たちは、うなだれ続けるしかなく、
そのまま時間だけが無情に過ぎて行き……、
とうとう、セミナー終了の時間となってしまった。

はい、みなさん、お疲れ様でした。
 では、今のこの年で最後にしたいと思います


講師の終了宣言に、みんなは
「あー、もう終わりかー」
「いやー、面白かったなー」
などの感慨深げな声を口々にもらした。
すでに「勝ち組」と「負け組」の経営者の間で
十分に大差がついており、逆転の可能性は皆無であったから、
ゲーム終了の宣言にあわてる者は誰もなく、
消火試合的な和やかなムードで淡々としたプレイが続けられた。

そのとき僕は、みんなのプレイをぼんやり眺めながら
ある「真理」を悟っていた。

そうか……そういうことか……。そういうことなんだ……

それは結局のところ、勝ったのは、

社交的で、明るく、
 ゲームの合間に、みんなを笑わせる冗談を言ったり、
 雑談が上手な経営者


であり、逆に、負けたのは

勉強はできそうだが、黙々と仕事をやるのが好きそうで、
 社交的ではない、無口な経営者


であったということ。

こんなにもはっきりと分かれるものなんだ……

勝った側の経営者たちは総じて、
明るくて、堂々としていて、会話が楽しくて、
女の子にもモテそうで、彼女がいなかった時期などなさそうな、
そんな「人間的に最初から勝ってるオーラ」を
かもし出している連中ばかりだった。

一方、負けた側の経営者たちは総じて、その逆。
逆の雰囲気。逆のオーラ。
真面目そうだが、ぱっとしない。
もし、彼らだけ集めて、グループ名、ユニット名をつけるとしたら、
もっとも適切な名称は「部長どまり」。
そんな感じの連中ばかりであった。

はたして、自分は……、
勝ち組側の人間になれるだろうか……。

いや、無理だ……絶対に、間違いなく無理だ……

まずそもそも自分は、けっして社交的な人間ではない。
アドリブもきかず、初対面の人に話しかけられても、
きょどって見当違いなことを言ったり、
笑わそうと変にテンションをあげたあげく、
すべって場をしらけさせてしまう(そして後で自己嫌悪)、
そんなキャラクターである。

だから、初対面の経営者同士が集まって
談笑しながら人脈を作る懇親会なんて、絶対無理。
行くこと自体がストレスで、前の日から憂鬱になるタイプ。
そんなことより細かい作業を黙々とやったり、
一人で理屈をこねている方が好きなタイプ。

すなわち、明らかに後者の人間。
勝てない人間。
これはもう努力うんぬんの問題ではなく、
人間的な質、個性、生まれつきの問題であろう。

結局、つまるところ、この経営戦略セミナーを主催した人が
一番伝えたかったこととは、

そんな後者タイプのおまえが
お喋りが上手で、社交的で、
明るく、お洒落で、清潔で、
ピッとしたスーツが似合う、リア充の彼らに
「張り合おう」とか「勝とう」とか
思うこと自体が誤り

ということだったのだ。


でも……それでも……


僕は……


そして、ついに最後のターンがやってきた……。

では、飲茶さんの番です



勝ちたい……



やつらに勝ちたい……



うぅぅぅぅううぅぅっぅぅううううっっ………(ボロボロ)

飲茶さん?

口元をおさえて嗚咽に震える僕をみて、いぶかしむ講師。

僕は、震える喉から無理やり空気を吐き出し、最後の経営戦略を述べた。

商品を……売りに……出します

はい、何個ですか?

ぜんぶ……

え?

倉庫にある商品を全部!

耐え忍んできた様々な感情があふれ出しそうになっていた。
僕はこのときをずっと待っていたのだ。

僕はシートの下に隠しておいたカードをばさっと場に放り出した。
それは毎年、少しずつ、少しずつ、
買いためていた宣伝広告カード

すべて演技だった。

ため息をつきながら、投げやりにゲームに参加し、
適当に競売に参加しては、いじめられ、負けて、
そしてふて腐れながら、おまけカードを買ってみたり、
宣伝広告カードを買ってみたり……。
だが、そうして顔を伏せながらも、
宣伝広告カードだけは使わずにためていたのだ。

宣伝広告カードを使って、倉庫の商品を全部市場に出します

こうして、倉庫にあった大量の商品が一気に市場へ投入され、
日本各地にばらまかれた。北海道から九州まで、
広告カードの力を使って、全国に一度に流通させたのだ。

そこで、やっとみなが気がついた。

「今」、この瞬間とは、最後の最後、
ゲーム終了の最後の土壇場のターンであることを。

そう、来年は存在しない。ゲームは今年で終了。
だから、来年のために、材料を買って商品を作る、
という行為を誰もしなくなる。

したがって、ゲーム終了間近は、在庫が少なくなるに違いない

その気づき。
最後の最後のターンに、それが起こるかもしれないという可能性。
それに、僕は賭けたのだ。

まだ、在庫を持っているメンバーが、あわてて、競合商品を出してくる。

Aさんは、大阪に。Bさんは、東京に。

だが、ゲーム終盤のため、在庫が足りず、
すべての地区に競合商品を出すことができなかった。

そのため、
北海道や青森などの地区(小需要で、少ししか商品を置けない地区)
では、競合相手がいない、という状況が発生。

場は、騒然とした。講師ですら予想外のことで、驚いていた。

この地区とこの地区は、
 競合相手がいないから、上限まで価格をつけてもいいんですよね?


は、はい。かまいません

じゃあ、オープンプライス!

もちろん、僕が掲げた金額は、表示可能な最大金額。

99990円!

ついに成し遂げる!
独占販売による最大金額の提示!
その金額の大きさに、みなが驚きの声をあげた。



だが……!

駄目ッ!!

これでは駄目ッ……!
駄目なのだ!

まだ僕には、やらなければいけないことがある!

ここで終わってはいけない!
これで終わらしてはいけない!

だが、はたして……

はたして彼は気づいてくれるだろうか……。

では、次は九州地区で

僕は、自分から次に競売を行う地区を指名した。

そこには、競合相手として、あの「価格破壊男」がいた。

あとは、もう……価格破壊男しだいであった……。

僕は祈るような視線を価格破壊男に送った。

頼む!価格破壊男、
気づいてくれ……気づいてくれ……!

(次回完結)

2013年03月26日

【完】経営者育成セミナー参加日記(20)〜経営〜


(以前の話はこちら

よし、次もこれでいこう……

僕は、最大の「99990」を価格破壊男に見せながら
そう呟いた。

頼む……気づいてくれ……価格破壊男……。

オープンプライス!

僕は、事前に示したとおり、「99990」を提示した。
そして価格破壊男は……



99980!


え、ええっと、D(価格破壊男)さんが
 99980円で売れました……


おおおおおおおおおお!
再び、場は騒然となった。

言っておくが、これは談合ではない。
ただ僕が独占販売の成功に気を緩め、
次に出す価格をどうするか、つい呟いてしまっただけ。
その呟きを信じる、信じない、かは、
価格破壊男の自由意志であるのだから、
これは決して談合ではない。

もっとも。そうは言っても、こんな談合っぽい行為、
本来なら許されないだろう。
もし、ゲーム序盤でやったら、それこそ総すかん。
その後、徹底的につまはじきにされたに違いない。
(もっともゲーム序盤なら「1対1での競売」自体がありえないが)

だが、今は、最後のターン。
明日の朝日はもう昇らないという終末のとき。
まさに「今」だからこそ……、
そして、散々いじめられ、嫌われ、
失うもののない負け組の僕らだからこそ
できる違法寸前の行為。

次!東京、行きます!

まだ場が騒然としているうちに、
僕は次の地区を指名した。

また僕は、次、これで……

そう言って、「99990」を見せたあと、
価格表を机の下に隠した。

オープンプライス!

A 「99980円
飲茶「89990円

講師「や、飲茶さんの勝ち

次!大阪、行きます!
 ……今度は、これで行きます


僕は「89990」を見せた。

オープンプライス!」

B 「60000円
飲茶「39990円

講師「飲茶さんの勝ち、39990円で売れました

よしッ!よしッ!よしッ!
すべて計画どおり!
勝った、勝ったッ!

賭けに勝ったッッ!

ゲーム終了間際、経営者の持つ在庫が減った瞬間を狙い、
大量の宣伝広告カードで、商品を全国に置き、
独占販売」を狙う……という戦略。
しかし、この戦略では、勝利には届かなかった。
なぜなら、このやり方で「独占販売」ができるのは、
需要が「」や「」の地方の地区ばかりであり、
どんなに高い価格をつけても、売れる個数が少ない分、
利益も少なくなってしまうからだ。
それでは、トップには届かない。

ガツンと儲けるためには、やはり「東京」「大阪」といった
需要が「30」や「20」の地区で、
大量の在庫を高額で一気に売らなくてはならなかった。

そのために……、まずどこかの地区で、
99990円の価格を提示しますよ
と談合をアピールして、競合相手を儲けさせる。
そうして、「競合相手が儲かった」現場を見せ、
周囲の思考が沸騰しているうちに……、
需要の高い「東京」の地区の価格競争を開始し……、
同じように「99990円の価格を提示しますよ」
と談合をアピールしたあとに……

裏切り

89990円という高値で30個の商品を売り抜ける!

というのが僕が考えた「最後の経営戦略」であったわけだが、
結果……、見事に成功!

きっと時間を置いて冷静に考えたら、こんな稚拙な作戦に
ひっかかりはしなかっただろう。さらに僕が「裏をかかれる」
という結末もあったかもしれない。

だが、結果として、競合相手は……気がつかなかった。
」から気がついたかもしれないが、
とにかく「」気がつかなかった。
経営戦略の勝敗の分かれ目は、やはり「」にあったのである。

◆◆◆

こうして戦いは、終わった……。
結果は、僕が1位。
価格破壊男の順位は……正確な数字は忘れてしまったが、
少なくとも、ビリではなかったと記憶している。

最後に講師が、「まとめ」のような講義をし、
その終わりに、
では、上位の方々には、
 今回のセミナーで学んだこと、経営で一番大事なことは何か、
 ひとりずつ話していただきます

とコメントを求めた。

僕以外の人たちは
損益の分岐点を明確にすることです
きちんと予算の計画を立てることです
などといった模範的解答を
流暢に……堂々と……ときにユーモアをまじえて
話していった。

では、最後にトップの飲茶さん、お願いします

は、はい……あ、あの

僕はこういうあらたまった場での発言は苦手だった。
声を上ずらせ、どもりながら、たどたどしく話した。

え、えっと……、
 今……が一番大事というのかその……あの……
 あああ、すみません、よくわからないですよね……
 あ、あのそれよりも、なんというか……
 やっぱり大事なのは…………そ、その
 
 
 あきらめないこと……です。
 どんなところからでも、必ず逆転できると信じて、
 考えて考えて考え続けて……あきらめず……
 『勝負すること』……
 それが大事だと思いました


こうして、僕のセミナー体験は終わった。

セミナー終了後、何人かの経営者から声をかけられ、
これから飲みに行きませんか?」と誘われたが、
僕はそれらをすべて断り、まっすぐに家に帰ることにした。
なんというか勝負の余熱というか、熱いものがまだ胸に残っており、
どうしてもその余韻にひとりで静かにひたりたかったのだ。

帰りの電車の中。僕は、ずっと考えていた。
ゲームが始まる前に、講師はこう言っていた。

この経営戦略ゲームをやることで
 自分がどんなタイプの経営者なのか、
 どんなタイプの人間なのか、
 知ることができるでしょう


たしかに、そのとおりだと思う。この経営戦略ゲームに参加して、
僕は、自分がどのタイプの人間なのか、とてもよくわかった。

電車の中で、何度もゲームのシーンを反芻する。

材料を買い占めようとしたとき……。
それが失敗に終わったとき……。
宣伝広告カードの逆転を思いついたとき……。
価格競争の金額を吊り上げる駆け引きを打ったとき……


思い返してぶるぶると震えてきた。
秘策を思いついたときの脳を打つ快感。
そして、それを成し遂げるため、
感情をかみ殺しながら地を這い続け、
最後の最後で策が実り、逆転したときの感動……。

それだ……それが自分の求めているものなんだ……。

考えて……勝負すること……。

きっと、これが答え……。
それこそが僕にとって「経営する」ということ……
そして……「生きる」ということ……。

明日から、どう経営していけば良いのか。
今日学んだことを、どうやって現実の経営に活かしていけば良いのか。
まだ具体的なイメージはつかめていない。
だが、今回のセミナーに参加したことで、
経営者として確かな手ごたえを感じていた。

これから、大変なこともあるだろう。
理不尽に見舞われ、すべてが裏目に出て・・・・・・、
打開策も破綻して八方塞・・・・・・、
そして倒産が確実、
という事態もきっと起こるだろう。

でも、絶対にあきめない……。
あきらめることだけはしない……。
いま胸に感じてるこの熱い気持ちを大事にして……、
戦っていこう。

そう呟いた僕は、
電車の心地よい振動にゆられながら、
ウトウトと眠りについた。






(後日談)

経営者育成セミナーに参加してから、5年の月日が流れた……。

あのあと、飲茶の会社はどうなったかと言うと……。

初年度こそ、何千万という大赤字を出して潰れかけたものの、
その後、回復。順調に黒字を重ね、
郊外のボロアパートに机を並べてはじめた飲茶の会社は、
今では東京都中央区のオフィス街に事務所を持つまでになった。

結論を言えば、成功したのである。

では、赤字から脱却して経営が成功したきっかけとは、なんだったのか。
思い返せば、
やはりそれはあの経営者育成セミナーの参加だったのだろう。






プルルルルルルルルルルルルルルルル





プルルルルルルルルルルルルルルルル





ん?誰だろう、電話だ……。

ああ、わかってる。
こんな時間に来るのだから、トラブルの電話に決まっている。

会社の規模が大きくなろうと、黒字になろうと、
世の中が不条理なのは変わらない。
経営なんてうんざりするほど、トラブルだらけだ。

こんなとき、僕は、胸に手を当てて確認してみる。

大丈夫だ……
あのとき、ともった炎が
まだ燃えている……。

僕は受話器を取り上げて応えた。



限度まで

(完)